《宅建過去問題》令和元年(2019年)問8[請負]

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【R01-08 問題(変更あり)】
Aを注文者、Bを請負人とする請負契約(以下「本件契約」という。)が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

[1] 本件契約の目的物たる建物の種類又は品質に重大な不適合があるためこれを建て替えざるを得ない場合には、AはBに対して当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
[2] 本件契約が、事務所の用に供するコンクリート造の建物の建築を目的とする場合、Bの担保責任の存続期間を20年と定めることができる。
[3] 本件契約の目的が建物の増築である場合、Aの失火により当該建物が焼失し増築できなくなったときは、Bは本件契約に基づく未履行部分の仕事完成債務を免れる。
[4] Bが仕事を完成しない間は、AはいつでもBに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる。



 


【R01-08 解答】
[1] 正しい
建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵(建物の種類または品質に重大な不適合)があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は、請負人に対し、建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求できる(最判平14.9.24)
[2] 誤り

民法146条は「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」と規定し、時効完成前における時効利益の放棄を禁止している。本肢の「担保責任の存続期間を20年と定める」のように、本来の時効期間(民法166条1項)よりも長期にわたる時効期間を定めることも、時効完成前における時効利益の放棄にあたり許されない。
[3] 誤り
本肢では建物の焼失によって仕事完成債務が履行不能となっている。民法412条の2第1項は「履行不能の債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。」と規定する。よって、注文者(債権者)は、請負人(債務者)に対して、仕事完成債務の履行を請求できない。
しかし、これによって請負人が仕事完成債務を免れるわけではない。請負人が仕事完成義務を免れるためには、請負契約を解除することが必要である。本肢は「債務の全部の履行が不能であるとき」に該当するので、催告によらない解除が可能である(民法542条1項1号)。
[4] 正しい
民法641条は「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」と規定する。

正解 [2・3](出題時と正解が異なります