《宅建過去問題》令和元年(2019年)問3[売買]

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【R01-03 問題(変更あり)】
事業者ではないAが所有し居住している建物につきAB間で売買契約を締結するに当たり、Aは建物引渡しから3か月に限り「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任」(以下この問において「担保責任」という。)を負う旨の特約を付けたが、売買契約締結時点において当該建物の構造耐力上主要な部分に不適合(以下この問において「当該不適合」という。)が存在しており、Aはそのことを知っていたがBに告げず、Bはそのことを知らなかった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

[1] Bが当該不適合の存在を建物引渡しから1年が経過した直後に知った場合には、その時点から1年以内に当該不適合の事実をAに通知したときに限り、BはAに対して担保責任を追及することができる。

[2] Bは、契約目的を達成できるか否かにかかわらず、当該不適合を理由に売買契約を解除することができる場合がある。
[3] Bが当該不適合を理由にAに対して損害賠償請求をすることができるのは、当該不適合を理由に売買契約を解除することができない場合に限られる。
[4] AB間の売買をBと媒介契約を締結した宅地建物取引業者Cが媒介していた場合には、BはCに対して担保責任を追及することができる。



 


【R01-03 解答】
[1] 誤り
民法566条本文は「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。」と規定する(失権効)。よって、本肢のような種類・品質の不適合については、その不適合を知ってから1年以内に売主へ通知しないと、買主は、売主に対して担保責任(契約不適合責任)を追及する権利を失うのが原則である。
しかし、民法566条但書は「ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。」と規定する。本肢のA(売主)は、種類・品質の不適合につき悪意なので、上記の失権効が及ばない。よって、Bは、当該不適合を知った時から1年以内にAへ通知しなくても、Aに対して担保責任を追及する権利を失わない。なお、売主の担保責任を追及する権利の消滅は、債権の消滅時効期間(民法166条1項)によって決められる。
[2] 正しい

契約目的達成不能の場合は、原則として「債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき」(民法542条1項3号)に該当するものとして、催告によらない解除(無催告解除)が可能である。
しかし、契約目的達成不能でない場合でも、催告による解除(民法541条)が可能である。民法上は、契約目的達成不能でない場合に、買主による解除権を制限する規定は存在しない。
[3] 誤り
本肢のような規定は存在しない。よって、Bは、売買契約の解除ができるか否かを問わず、当該不適合を理由として損害賠償請求ができる(民法415条)。
[4] 誤り
民法上の担保責任は「売主」が負うものである。よって、売主でない宅建業者Cに対して、Bは担保責任を追及できない。

正解 [2](出題時と正解が異なります