《宅建過去問題》令和元年(2019年)問2[意思表示]

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【R01-02 問題(変更あり)】
AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

[1] AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、CがBから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、AC間の関係は対抗問題となり、Aは、いわゆる背信的悪意者ではないCに対して、登記なくして甲土地の返還を請求することができない。
[2] AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することができる。
[3] Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けた有過失のCに対して、錯誤を理由に当該意思表示を取り消して、甲土地の返還を請求することができる。
[4] Aの売却の意思表示に要素の錯誤があって、BがAと同一の要素の錯誤に陥っていない場合、Aに重大な過失があったとしても、Aは、重大な過失のないBに対して、錯誤を理由に当該意思表示を取り消して、甲土地の返還を請求することができる。


 


【R01-02 解答】
[1] 正しい
本肢のCは「取消し後の第三者」なので、AC間は対抗関係に立ち、不動産の場合は先に登記を備えた方が優先する(大判昭17.9.30)。
[2] 正しい
本肢のCは「取消し前の第三者」なので、詐欺を理由とする意思表示は、善意無過失の第三者に対抗できない(民法96条3項)。しかし、C(第三者)が悪意なので、A(表意者)は、詐欺を理由とする意思表示の取消しをCに対抗できる。なお、第三者が登記を備えているか否かは結論に影響しない。
[3] 正しい
錯誤を理由とする意思表示の取消しは、善意無過失の第三者に対抗できない(民法95条4項)。よって、A(表意者)は、有過失であるC(第三者)に対して、錯誤による意思表示の取消しを対抗できる。
[4] 誤り
錯誤が表意者(A)の重大な過失による場合、①相手方(B)が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったときか、②相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたときを除き、錯誤を理由とする意思表示の取消しができない(民法95条3項)。本肢は①②の双方に該当しないので、Aは錯誤を理由とする意思表示の取消しができない。

正解 [4]