【民法改正対応】平成27年(2015年)問10[遺言・遺留分]

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【H27-10 問題(変更あり)】
遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
[1] 自筆証書の内容を遺言者が一部削除する場合、遺言者が変更する箇所に二重線を引いて、その箇所に押印するだけで、一部削除の効力が生ずる。
[2] 自筆証書による遺言をする場合、遺言書の本文の自署名下に押印がなければ、自署と離れた箇所に押印があっても、押印の要件として有効となることはない。
[3] 遺言執行者が管理する相続財産を相続人が無断で処分した場合、当該処分行為は、遺言執行者に対する関係で無効となるが、第三者に対する関係では無効とならない。
[4] 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。



 


【H27-10 解答】
[1] 誤り
民法968条2項は「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」と規定する。よって、削除した旨を付記して署名することも必要となる。
[2] 誤り
遺言書本文の自署名下には押印をしなかったが、遺言書であることを意識して、これを入れた封筒の封じ目に押印したのであれば、自筆証書遺言の押印の要件として有効となる(最判平6.6.24)。
[3] 誤り
民法1013条は、1項で「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」と規定し、2項で「前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。」と規定する。つまり、悪意の第三者との関係では無効なので、本肢は「第三者に対する関係では無効とならない」と断言する点が誤り。
[4] 正しい
民法1048条は「遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。」と規定する。

正解 [4]