【民法改正対応】平成30年(2018年)問5[事務管理]

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【H30-05 問題(変更なし)】
Aは、隣人Bの留守中に台風が接近して、屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあったため、Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した。この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
[1] Aは、Bに対して、特段の事情がない限り、B宅の屋根を修理したことについて報酬を請求することができない。
[2] Aは、Bからの請求があったときには、いつでも、本件事務処理の状況をBに報告しなければならない。
[3] Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理しなければならない。
[4] AによるB宅の屋根の修理が、Bの意思に反することなく行われた場合、AはBに対し、Aが支出した有益な費用全額の償還を請求することができる。



 


【H30-05 解答】
本問の事例は、Aが「B(本人)からの依頼なくB宅の屋根を修理した」とあるので、A(管理者)の行為は事務管理(697条)に該当する。さらに、事務管理を始めた理由が「屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫ったおそれがあった」からなので、Aの行為は緊急事務管理(698条)に該当する。
[1] 正しい
事務管理は無償で行われるものなので、管理者に報酬請求権は発生しないのが原則である。
[2] 正しい

管理者は、本人の請求があるときは、いつでも事務処理の状況を報告しなければならない(701条、645条)。
[3] 誤り
管理者は善管注意義務を負うのを原則とするが(400条)、緊急事務管理の場合は「悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない」(698条)として、管理義務が軽減されている。
[4] 正しい
民法702条1項は「管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。」と規定する。なお、事務管理が本人の意思に反する場合は、本人のために有益な費用を支出しても、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、その償還を請求できるにすぎない(702条3項)。

正解 [3]