【民法改正対応】平成30年(2018年)問1[意思表示]

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【H30-01 問題(変更あり)】
AがBに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
[1] 甲土地につき売買代金の支払と登記の移転がなされた後、第三者の詐欺を理由に売買契約が取り消された場合、原状回復のため、BはAに登記を移転する義務を、AはBに代金を返還する義務を負い、各義務は同時履行の関係となる。
[2] Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても、Aに重大な過失があって取り消すことができないか否かを問わず、BはAの錯誤を理由として取り消すことはできない。
[3] AB間の売買契約が仮装譲渡であり、その後BがCに甲土地を転売した場合、Cが仮装譲渡の事実を知らなければ、Aは、Cに虚偽表示による無効を対抗することができない。
[4] Aが第三者の詐欺によってBに甲土地を売却し、その後BがDに甲土地を転売した場合、Bが第三者の詐欺の事実について善意無過失であったとしても、Dが第三者の詐欺の事実について悪意であれば、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。



 


【H30-01 解答】
[1] 正しい
売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係にある(最判昭47.9.7)。
[2] 正しい

民法120条2項は「錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。」と規定する。よって、意思表示の相手方Bは、取消権者に含まれていないので、Aの重過失(重過失があると錯誤取消しが原則できない、民法95条3項)の有無を問わず、Aの錯誤を理由とする取消しができない。
[3] 正しい
虚偽表示による無効は、善意の第三者(C)に対抗できない(民法94条2項)。AB間の仮装譲渡は虚偽表示の典型例である。
[4] 誤り
三者による詐欺は、相手方(B)が悪意または有過失のときは、表意者(A)が取り消すことができる(民法96条2項)。反対に、本肢のように相手方が善意無過失のときは、表意者が取り消すことができない。これによって、詐欺取消しができないことが確定するので、転得者(D)が悪意であっても、表意者は詐欺取消しができない。

正解 [4]