《宅建過去問題》平成29年(2017年)問2[総合問題]

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【H29-02 問題(変更なし)】
所有権の移転又は取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
[1] Aの所有する甲土地をBが時効取得した場合、Bが甲土地の所有権を取得するのは、取得時効の完成時である。
[2] Aを売主、Bを買主としてCの所有する乙建物の売買契約が締結された場合、BがAの無権利について善意無過失であれば、AB間で売買契約が成立した時点で、Bは乙建物の所有権を取得する。
[3] Aを売主、Bを買主として、丙土地の売買契約が締結され、代金の完済までは丙土地の所有権は移転しないとの特約が付された場合であっても、当該売買契約締結の時点で丙土地の所有権はBに移転する。
[4] AがBに丁土地を売却したが、AがBの強迫を理由に売買契約を取り消した場合、丁土地の所有権はAに復帰し、初めからBに移転しなかったことになる。



 


【H29-02 解答】
[1] 誤り
民法144条は「時効の効力は、その起算日にさかのぼる。」と規定する。よって、Bが甲土地の所有権を取得するのは、甲土地の占有開始時である。
[2] 誤り
売主が第三者が所有する特定物を売り渡した後、当該特定物の所有権を取得した場合には、買主への所有権移転の時期・方法について特段の約定がない限り、当該特定物の所有権は、何らの意思表示がなくても、売主の所有権取得と同時に買主に移転する(最判昭40.11.19)。よって、乙建物の所有権をBが取得するのは、AがCから乙建物の所有権を取得した時点である。
[3] 
 売主の所有に属する特定物を目的とする売買においては、特に所有権の移転が将来なされるべき約旨に出たものでないかぎり、買主に対し直ちに所有権移転の効力を生ずる(最判昭33.6.20)。本肢の場合は「代金の完済までは丙土地の所有権は移転しない」という特約があるので、売買契約締結の時点で丙土地の所有権がBに移転するわけではない。
[4] 正しい
民法121条は「夫取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。」 と規定する。よって、売買契約の取消しにより、丁土地の所有権がA(売主)に復帰し、初めからB(買主)に移転しなかったことになる。

正解 [4]