《宅建過去問題》平成26年(2014年)問6[売買・請負・不法行為]

【H26-06 問題(変更あり)】
Aは、Bに建物の建築を注文し、完成して引渡しを受けた建物をCに対して売却した。本件建物の種類又は品質に不適合があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
[1] Cは、売買契約の締結の当時、本件建物の種類又は品質に不適合があることを知っていた場合であっても、当該不適合の存在を知ってから1年以内に限り、Aに対して本件建物の種類又は品質に不適合を理由とする担保責任を追及することができる。
[2] Bが建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったために本件建物に基本的な安全性を損なう種類又は品質の不適合がある場合には、当該不適合によって損害を被ったCは、特段の事情がない限り、Bに対して不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる。
[3] CがBに対して本件建物の種類又は品質の不適合に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、当該請求ができる期間は、Cが当該不適合の存在に気づいてから1年以内である。
[4] 本件建物に存在している種類又は品質の不適合のために請負契約を締結した目的を達成することができない場合、AはBとの契約を一方的に解除することができる場合がある。



 


【H26-06 解答】
[1] 誤り
契約不適合責任の追及期間は、権利を行使できるのを買主が知った時から5年、または買主が権利行使ができる時から10年が原則である(民法166条1項)。なお、種類・品質の不適合については、これらを知った時から1年以内に売主へ通知しないと、買主は契約不適合責任を追及できなくなるが(民法567条)、この通知さえしておけば、上記の追及期間の間は契約不適合責任を追及できる。
[2] 正しい
本記述のとおりに述べた判例がある(最判平19.7.6)。BC間には契約関係がないので、BのCに対する損害賠償請求は不法行為に基づくことになる。
[3] 誤り
不法行為に基づく損害賠償請求ができる期間は、①被害者もしくはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間、②不法行為の時から20年間、のいずれかを原則とする(民法724条)。
[4] 誤り
債権法改正前は、請負人の担保責任について、仕事の目的物が「建物その他の土地の工作物」である場合は、請負契約の解除ができないと規定されていた(旧民法635条但書)。しかし、債権法改正により、この規定が削除されたので、建物の種類・品質の不適合についても、民法が規定する要件を満たす限り、請負契約の解除が可能である(民法564条、541条〜543条)。

正解 [2]