《宅建過去問題》平成26年(2014年)問4[抵当権・根抵当権]

【H26-04 問題】
AがBとの間で、CのBに対する債務を担保するためにA所有の甲土地に抵当権を設定する場合と根抵当権を設定する場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
[1] 抵当権を設定する場合には、被担保債権を特定しなければならないが、根抵当権を設定する場合には 、BC間のあらゆる範囲の不特定の債権を極度額の限度で被担保債権とすることができる。
[2] 抵当権を設定した旨を第三者に対抗する場合には登記が必要であるが、根抵当権を設定した旨を第三者に対抗する場合には、登記に加えて、債務者Cの異議を留めない承諾が必要である。
[3] Bが抵当権を実行する場合には、AはまずCに催告するように請求することができるが、Bが根抵当権を実行する場合には、AはまずCに催告するように請求することはできない。
[4] 抵当権の場合には、BはCに対する他の債権者の利益のために抵当権の順位を譲渡することができるが、元本の確定前の根抵当権の場合には、Bは根抵当権の順位を譲渡することができない。



 


【H26-04 解答】
[1] 誤り
抵当権の被担保債権は特定される必要がある。一方、根抵当権の被担保債権は「一定の範囲に属する不特定の債権」なので(民法398条の2第1項、具体的には同条2項・3項に規定されている)、あらゆる範囲の不特定の債権を被担保債権とすることはできない(包括根抵当の禁止)。
[2] 誤り
抵当権・根抵当権ともに、第三者対抗要件は登記(抵当権定登記、根抵当権設定登記)である(民法177条)。根抵当権の設定について債務者の承諾を第三者対抗要件とする旨の規定は存在しない。
[3] 誤り
抵当権・根抵当権ともに、その実行の前に債務者への催告を要する旨の規定は存在しないので、事前に債務者に対し債務の履行を催告することを要しない。
[4] 正しい
根抵当権の順位の譲渡は認められている(抵当権の処分、民法376条1項)。一方、元本確定前の根抵当権の順位の譲渡は認められていない(民法398条の11第1項)。

正解 [4]